11 次の日の日没、ゴン達が執事室に到着した報告を受けた。 クビラの言うとおり、私が何もしなくても彼ら自身で何と かできたのは嬉しいのだけど、少し寂しくて悔しかった。 「ちゃんと父親面できました?」 「さてな」 そっけない返答しかなかったけれど、顔は若干和やかなの で悪くない親子団欒ができたのだろう。 それから簡単に挨拶を交わしてからは森を駆け抜け、 玄関を開け、暗闇の中に佇んでいると。 「あ〜!!!」 ゴンのビックリした声が森に響いては手をヒラヒラと 振った。 「やっほー。開門の鍛錬お疲れ様」 「ちょっ!お前遅れて到着にも程があんだろうが!! もう全部解決しちまったぜ!」 「…開門の鍛錬と言うからには、すべての時間を計算して ここにいたのか?」 「ん?というか、昨日から本邸の方にいたから頃合を 見て降りてきただけ。 私が手助けするようなこと一個もなくて、出るに出れ なかったんだよね」 カラカラと笑ってみせてから、私達は街に向かって歩いた。 どうせ夜通し歩くのだから、その歩みの共に今回の峠越え の話を聞こう。 「そんでミケがずどんって座ってもこっち見てたんだよね」 「あーミケはひいじーちゃんが捕まえてきた魔獣で 調教の鬼神って呼ばれてる奴に番犬に躾けるように依頼 したらしいんだよね」 ゴンとキルアは1ヶ月近く会えなかった時間を取り戻すよ うにずっと喋る。 私やレオリオやクラピカはその微笑ましい光景を後ろから 見守っていた。 「ああやってりゃあいつ等もフツーのお子様なんだけどなぁ」 レオリオがそう呟くと、クラピカが呼応してクスリと笑った。 「違いない。ところで、は昨日、ゾルディック家と言 っていたが、もしや、あの時の地震は…」 「地震…ああ、シルバさんと挨拶代わりに戯れただけよ」 「戯れ……」 クラピカとレオリオが絶句して、は瞳に本気の色を滲 ませた。 「力に溺れたら届かないレベルにキルアの父親、シルバさ んはいるってこと」 ヒュオッと、風が鳴いた。 風は遊ぶように、の長い黒髪を躍らせ、2人からの 表情を隠した。![]()