55 「…つまり、4次試験中にヒソカからプレートと拳一発を 貰っちゃってその借りを返すまではハンターライセンスは 使いたくないのね?」 ポックルとハンゾーとボドロに別れを告げ、ゴンとクラピカ とレオリオと私だけでライセンスを使えない理由を聞いた。 ある意味ナイスだヒソカ。 ゴンの実力を伸ばすのにはギリギリまで命を奪わないであろう アンタは最適の悪役だ。 まだ遠いライバルだろうけど、追いかけるには丁度いい。 「ライセンスを使う使わないはゴンの自由だから好きに しなさい。今日の所は2人のコードを使わせてもらえば いいんだし。 すぐにキルアのところに向かうなら今日の内にミトさんと ひいおばあちゃんに合格したことと元気だよって電話する か手紙を書きなさいね」 「うんそうする…って俺にミトさんとばあちゃんの こと言ったっけ?」 の忠告にゴンは顔をほころばせ、それから話の不具合 を感じて質問した。 「いいえ。私が聞いたのは別の人。 従姉妹の元気なミトさんと穏やかだけど怒らせると凄く怖い おばあちゃん……それに、自分の息子のゴン…貴方のこと。 一次試験で私の事教えるって約束したわね。 その約束を今守るわ。 私はミッシングハンター、失われたモノを狩る者。 そして、ジンさんの弟子でカイトの恋人兼妹弟子よ」 「え、ええええぇぇぇえ!? 嘘親父がの師匠で、しかもカイトはの恋人って、 じゃあ俺の事最初から知ってたのって」 「2人から聞いてたから。もう最初見て一発でゴン"君" だって分かるくらいジンさんそっくりなんだもん。 あ、私からジンさんの居場所はいえないわ。 ジンさん本人から言うなって禁止されてるから」 うんうん。素直に驚いてくれてお姉さんはとても嬉しい。 今まで黙ってた甲斐があった。 「カイトも最初から俺のこと知ってたの?」 「ゴンって息子がいるのはね。助けたのは偶然だって いうから世の中は不思議ね」 慌てているゴンが可愛くて思わず頭を撫でてしまう。 あのジンさんの遺伝子でこんな可愛い子ができたのだから 奥さんはきっといい人だったか、ミトさんがいい人なのだろう。 「クラピカ」 「何だレオリオ」 「俺、実はに男がいたって事が一番驚いた」 「奇遇だな、私もだ。何故だろうな。 いても全く可笑しくないのだが……」 どうしてなんだろうと首を傾げる。 に対してのイメージが出来上がりつつある中で、 新しい情報が入ってきただけの話だ。 それだけで、ここまで驚く自分がおかしい。 「それで、キルアの家に行く件だけど、所用を片付けて からじゃないと私、行けそうにないの。 多分3日もあれば終るから先にククルーマウンテン近く に行っててくれない?」 「それは問題ないだろう。仮にも暗殺集団の家なんだ。 すぐに見つかるとは思えないしな」 は深く沈黙した。 半分はクラピカの言うとおりだ。家は誰も見た事は ないし、私もわからない。 しかし、玄関だけなら1時間足らずで彼らは 見つけられるだろう。 なんたってパドキア共和国では有名な観光場所だ。 暗殺家族の定住を許可した上に玄関を観光地にするとは、 パドキアの上層部の肝の据わりようも物凄いものだと 推し量る。 それからは到着した後の連絡方法と待ち合わせ手段を 暫定的に決めて、彼らとは別れた。 「物言いたげだねえ◆」 ヒソカはクククと喉を鳴らしてイルミを笑った。 イルミは達から目を反らし、玄関へ歩いて行く。 「あんなの、現実と理想が混同したままの小娘だろ。 だから子供のキルは懐いたんだ。 まだ教育が足りなかったな。 でも、彼らがうちに行くなら父さんがなんとかするよ」 父さんが動くなら俺のすることはここで終わり。 キルのことはまだ気にかかるけど、にはもうできる だけ関わり合いたくないな。 これ以上変なイライラしたくない。 去っていくイルミの背中を、目を細めて眺めながら、 ヒソカは呟いた。 「美味しい果実を狙う狩人が、一人増えるかもねv」 ハンター試験終了![]()