54,321HIT



今日は日曜日。しかも、部活のない貴重な休日なのだ。

「だああぁ!おいスバガキもっと手加減しろよな!」
「へっへ〜ん足とゲームで僕に叶う人なんていないよーだ」

兎丸は上機嫌でシューティングゲームのコードつき銃をくるくる
手で回している。

「辰、今何時だ?」
「2:40です。中々終わらないですね」
「そうっすね。猿野君、兎丸君目的のスポーツショップ
はどうなったんすか?司馬君が暇でうたた寝し始めてきたっすよ」
「(Zzz)」

大音量の極みといえるゲーセンで居眠りがこけるのも
ある意味驚異である。

「うるせーい!一度くらい勝たないと気がすまんのじゃー!」
「皆!あれあれ!見てよ」
「何だよスバガキ」

服の裾を引っ張られて猿野は兎丸の方をみた。

「あれ!ワンピースにジーンズの女の子、あれ志保ちゃんじゃない?」
「水樹がこんなとこ来るわけ…いたよ」

猿野はまさかと思いながら兎丸の指差す女の顔を見て、
見慣れた同級生であるのを確認した。

「(しかも隣にいる男の人2人、黒撰の村中兄弟だよね?)」
「うん、そうだよ。志保ちゃんのお義兄さん達」

赤い髪で端正というよりも凛然といった形容詞の似合う村中魁。

金髪で長いしっぽのように縛った髪が楽しそうに揺れて
実年齢よりも数歳幼く見える村中由太郎。

それに、自分たちの仲間である水樹志保が
プリクラのシール出口の前に立っていた。


「想像よりも最近の服装をしてんだな」

「それよりもあの3人がプリクラとる事に僕はビックリっす」


まだ志保なら女子高生であるのだから分からなくもない。

由太郎も言い方は悪いが子供っぽいのでまだ許せる。

しかし、あの古風な立ち振る舞いの魁がプリクラ…。

なんとも似つかわしくないものを見てしまった。


「あ、ゲーセンを出てくみたいですね」

「何処行くのかつけてみねえか?他の連中にも教えてやろうぜ」


そして猿野はケータイを取り出してボタンをプッシュしだした。



ブブブ ブブブ

「へーいどちらさん?あ、猿野か。どうしたんだよ突然。
は?志保が村中とデート!?ふざけんな!駅前のゲーセンだな。
絶対行く!んで邪魔してやる!!」

強引に通話を気ってくるりと後ろを振り向いた。

「ってことらしいんすけど、先輩達どうします?」
「「「行く(気・ング)!」」」


屑桐・朱牡丹。久芒。御柳参戦。



チャチャチャ

陽貴な着メロが流れて小饂飩は自分のケータイをとった。

「おう猿野か。魁ちゃんとユタ坊がデート?んなの俺一言も
聞いてないぞ!?今すぐそっちいくからな!!」

「別に兄妹なんだし、一緒に出かけることくらいあるでしょうに」

「しかし、気になるものは気になるのだよ。特に志保君は将来の
私の妻となる女性なのだからね」

「そんなの緋慈華汰さんの脳内妄想でしょう」

黒撰、小饂飩・緋慈華汰・沖参戦。



ブパパ ブパパ

「はいはーいって何だ〜ビミョーにてんごく君か〜。
うん、うん。分かった。駅前のゲーセンだね。情報提供ありがと〜」

剣菱はそう言って通話をきった。

「あのさ〜今村中兄弟と志保ちゃんがデートしてるから見に来ないか
っててんごく君からお誘いきたんだけと皆はどうする〜?」

答えは言わずもがな。

その場にいた紅印、影州、霧咲、ワンタンは一様に頷いた。



♪〜

「Hey!兎丸か、何かあったのか?…水樹が村中兄弟とデート?
OK!牛尾さん達も呼んでおくZe!駅前ゲーセン前だな」

十二支先輩軍も参戦。

その頃、問題となっている村中兄妹といえば。


「できたできた。家帰ってから分けるね」

志保は撮ったプリクラをカバンの中に仕舞った。

「ずいぶん早くできるものだな」
「でしょ。今度はスポーツ用具店行く?」
「さんせー。俺新しいスパイク欲しいしさ」

由太郎は志保の提案にすぐさま食いついた。

「ゲーセン出てくみたいだぞ」
「では犬飼君、子津君。兎丸君と司馬君の2組は後をついていって下さい。
私と猿野君はこれから来る先輩と他校の方を待ってますから」

「OK!行こう司馬君」
「(コク)」

兎丸と司馬はすぐさまに志保達の後をついていく。

「僕らは先にスポーツ用具店で待ち伏せっすね」
「ああ」

子津と犬飼は慌てずにゲーセンを出て行った。


+*+*+*


数十分後、ゲーセン前には埼玉有数の高校野球児が揃っていた。

「そんで今志保と村中はどこいんだよ」
「スバガキによるとスポーツショップに向かい中。その後、
甘味店"朝来"で食事するらしい」

「老舗の和菓子屋じゃない。あの3人らしすぎるわね」

紅印はクスッと笑ってその場面を想像してしまう。

「会話内容によりますとこれから由太郎氏のスパイクを買いにいくと」

「それじゃあ各校ずつに分かれてさりげなくかつ自然に
彼らとバッタリ会うことにしよう」

牛尾の提案に否を言うものはいなかった。

「俺達はこのままその甘味店に行ってくるよ〜」
「俺たちもそこよく行くから問題ないもんな」

剣菱と影州がそう言って第1陣として歩いていった。

「華武はスポーツ用具店に行くぞ」
「野球部がいるのは不思議じゃない気^^v」

屑桐の号令の元、華武も2陣として行動を開始。

「というわけで、僕ら十二支は道端でばったりの選択しか
とれなくなってしまった訳だね」

「牛尾、志保殿と彼らは兄妹であるのだから買い物に行った所
で逢引にはならぬと思うのだが」

「甘いよ蛇神君!志保君と魁君、由太郎君は義理の兄妹関係だ!
思春期の健康男子が志保君を女として見ていてもなんの不思議ではない!!」

「だったら志保ちゃんいつでも危険っちゃよ主将」


家に帰ればいつでも同じ屋根の下なのだからそうなのだが…。


「ただ単に水樹と遊びに行く行為自体が気に
入らないだけなのだ。あまり気にするな猪里」

鹿目はなんとも小気味よい答えを返してきて、
猪里と蛇神は成程と頷くしかなかった。


+*+*+*+*




それから数時間後。

「店員さ〜ん。ビミョーにあんみつ4つ追加〜」
「あ〜ミヤ俺の白玉取るな気(`∧´)」
「抹茶美味しいング」

「猪里頼んだぜんざいきたZe」

甘味店"朝来"は高校野球児でいっぱいになった。

「う〜ん、何で皆こんなに集まったんだろうね?」
「知らぬ」「知るか」

偶然ではなく必然であるとは気づいても、その理由までたどり着かない
志保に魁と由太郎は同時に返答した。

次こそバレないようにデートしよう。

村中兄弟は心の中でそう誓った。






+*+*+*+*コメント+*+*+*+*

向葵久遠様リクエスト村中兄弟とデート中に4校に発見される黒蝶ヒロイン。
でした。村中兄妹、シンプルデートコースを目指しましたが、挫折しました。
管理人はデート経験皆無と言って問題ない奴なんで…(笑)
こんな作品ですが、向葵様に捧げます。