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 拝啓 師匠

春の木々の様相も移り変わり、風の流れにも初夏への流れを
感じる今日この頃。
そちらも変わらずにお元気でしょうか?
私は今春入学した先での勉学も部活も一通り慣れてきました。
入部した先の野球部は入学以前から県内で最もレベルの高い
との噂を耳にしていましたが、予想を遥かに上回る力を持っ
ています。
夏の大会に向けて汗水垂らして練習に励んでいるのでそちら
へ顔を見せる事が叶わないません。
それでも、あの時師匠の言葉が後押しして今私は充実した
学校生活を満喫できるています。
それへの感謝の念は絶えることはないでしょう。
休日ができましたらまた伺います。
その日まで息災であるようお祈りします。

敬具 


「よし、嘘はないよ嘘は」
その手紙にしっかり封をするとはその手紙を投函した。

「ぢゃ〜ん。鼻水がづまるよ゛〜」
「はい久芒先輩。ちーんして下さい」

「ちゃんドリンクが欲しい気(×O×)/」
「はーい朱牡丹先輩お疲れ様です」

「、この間の試合のスコアとまとめ持ってきてくれ」
「部室においてあるのでちょっとだけ待ってて下さい帥仙先輩」

「〜今日部活終わったらデートしね?」
「なら今度の日曜ドラッグストアでデートしない?」
「……いいけど、それ荷物持ちじゃねえか?」
「大正解」

「ご苦労だな。次の投球練習打席に入るか?」
「喜んでやらせてもらいます!屑桐先輩!」

「、この間の桜餅は見事な出来だった故。
明日は大福を所望する」
「普通のと豆でいいですか?」
「異論はない」

……うん、充実してるし楽しいよ。
でもマネージャーとか部員の仕事じゃないのも
混じってる気がするよ。


「あ、屑桐先輩。今度の卍高校との試合の打ち合わせ
いいですか?」
「ああ、ノルマは無失点で30点以上でいいな」
「はい。こっちが出向くことになるので桜花先輩は十中八九
来ませんし、妥当ですね」
「卍相手ならも出せるだろう。監督とも相談してみよう」

屑桐の提案には目を丸くしたが、次第に目元が緩んできて
本当に嬉しそうに笑った。

「ありがとうございます。楽しみです」

そう、充実してる。
好きなことをやらせてもらえる。許してもらえる。
そのことがどれほど心が癒されるのか、計ることなど
できる訳がない。

螺旋階段のような人生に、必ず訪れる不幸と幸せ。
私は不幸があっても幸せを忘れない間は生きていられるだろう。

「!何屑桐さんだけにそんな極上スマイルしてんだよ。
俺にも見せろ〜」
「ミヤの言う通り気だね」
「屑さん抜け駆けング」
「ミヤ、さん潰れるから力抜いてやれよ」

ありがとう。
それだけがこの場所にいる全員に言いたい事。

仲間として認めてくれてありがとう。
野球をやらせてくれてありがとう。
選手としてグラウンドに立たせてくれてありがとう。
笑って私を見てくれて、ありがとう。


『あはは、らしいねー』
「そんなに笑う事じゃないでしょ」

電話から聞こえてくる電子音に変えられたの声。
少し膨れながら電話口にでる。

『だってさー。他人を見てるようで自分しか見てないんだもん』
「失礼ね。これでも周りを見るように努力はしてるつもりよ」

こうやってと談笑するのは久々で、変わらない友人に
ほっと胸を撫で下ろす自分がいる。

『、予言してあげる。ありがとうって言いたい
のはだけじゃなくてその野球部も同じだよ』
「ん?それは仕事はキッチリしてる自信あるけど…」
『ほーら自分しか見てない。ま、せいぜい考えてみなよ。
あ。充電あと1コだ。んじゃ切るね』
「あ、ちょっと!」プツ

そこでケータイの通話が切れて通話時間がディスプレイに
表示された。

「もう、それくらい教えてくれてもいいじゃない」


はまだから出された問題の答えを見つけていない。



10
「菖蒲監督、卍高校との練習試合はこれでいいでしょうか?」

練習試合の申し込みで届いた書類と一緒にメンバー表や
集合時間を記した紙を手渡した。

「は5回までセカンド出場…ふむ、文句はない故、
今日の部活終了時に皆に報告するように」
「はい分かりました」

「…以上で明日の練習試合の必要事項の説明を終了します。
他に質問のある方は各自私に聞きに来てください。
では解散です。お疲れ様でした」
「「「「うい〜すっ!!」」」」」

そして翌日…。

キイイィン
「お〜御柳君また飛ばしてますね」

は黒の野球帽子をかぶり、紫色のユニフォームに身を
包んでベンチに座ってスコアを書いていた。
これで今日の試合は終了だ。

「楽々ノルマ達成か。無様だな」
「面白写メいっぱい撮れた気だよ(-v-)b」
「ふあぁ俺眠たくなってきたング」

「で、またあの菖蒲を地上絵描くんですか?
あれって私の精神に結構反してるんですけど…」
「監督命令だからしょうがなさ気だよちゃん。
俺フェンス上って指示してくる気」
「いってらっしゃーい」

手を振って朱牡丹を見送ると後片付けと相手校の人への
挨拶をしようとすると…。

「あれ?羊のおじちゃん?」

父と義父の知己である羊谷遊人にあった。

「じゃねえか。何でこんな所にいるんだよ」
「部活動でここの学校と練習試合。後ろの方々は?」
「俺んとこの野球部員だよ。十二支の監督に就任したって
親父から聞かなかったか?」
「あ〜そういえばそんな話もしていたような」
「ちょっとちょっとエロひげ監督!何ピッチピチ女子高生
と楽しく会話してんすか!」
「HAHA〜N。お嬢ちゃん名前を聞いてもいいKaい?」

急に同年代の人たちが割り込んできてはラップ調の男
に手を握られたがするりとそれを抜けてちょっと間を空け
てから軽くお辞儀した。

「はじめまして。私は華武高校野球部マネージャー1年です」

「華武高校!?」「県下NO1のKa!?」

「おい、テメエいつの間に野球に出戻ってんだよ」

初めて知った事実に羊谷はに詰め寄った。

「つい1ヶ月前に。そのまま話の流れで入部することに
なっちゃった」
「だったら最初から十二支に
「何ウチのマネに手出してる気だよひげオヤジ(`皿´#)」
ドゴオォ
上から朱牡丹が降ってきて羊谷の頭に見事な足蹴りをかました。

「朱牡丹先輩!」
「ちゃん平気!?
面白アニマル軍団に変なことされてなさ気!?」
「ってか今先輩が蹴った人私の知り合いです」
「え(O∧O;)」
「それに「、録何をやっている」

すうっと紙飛行機が目線の端を横切った。

「「屑桐先輩!」」

と朱牡丹の声が合わさった。

時が交差し始めた。