苛立ち(黒蝶伝説 番外)
ここは十二支高校図書室。
3日後に控えた中間テストの勉強のため、
野球部は勉強会のために集まった。
「…でXはこうなる訳です」
「なるほど。じゃあこっちのYはこうやればいいの?」
「ザッツライトです」
私は辰君から数学を教えてもらっているが、
周りはどうも上手くいっていない様子。
「やぁん子津ちゃんったらイ・ケ・ズv」
明美に変身した猿野が子津のあごに手をかけるが、
子津は驚く変わりに大きなため息を吐く。
「猿野君、勉強する気無いっすね…」
古典の教科書が使われることなく寂しく机の上に置かれている。
「あったり前だ!こんな字の羅列憶えたってなんの足しにもならん!!」
「猿野さん。皆勉強してますから静かにしましょう」
「はい凪さん!!」
お猿君は逆切れするが、凪によって瞬時に止められた。
惚れた弱みは大きいね。
机に長時間座る苛立ちに耐えられないのはなにも
お猿君だけじゃないみたいだけど。
「司馬くーん。もう飽きたー」
「(そんな事言ってたら追試になっちゃうよ)」
中々勉強をしない兎君を司馬君が宥める。
「問2の答えは関係代名詞のWhoがこうなって…で分かったかい?」
「…うっす」
犬君は牛尾先輩に英語を教えて貰っている。
辰君の数学講義が終ったら私も牛尾先輩に
英語を教えてもらおう。
「三象、そこは助動詞の推定也」
「虎鉄、漢字が全部間違ってるとよ」
皆、それぞれ教え合い教わり合っている。
追試になったら部活禁止だから皆が皆必死になって
もらわなくては困るのさ。
「で?賭けの件はどうなるんですか主将」
「賭け?」
は頭の中に疑問符を浮かべる。
「ああ、君は知らないね。
このテストで総合点が平均点にいかない人には
ペナルティーがあるんだ。
もし全員平均点以上だったら皆を僕の家で、世界豪華
メニュー食べ放題を約束したんだ」
「随分太っ腹でご褒美ですね…」
「マネージャーも強制参加だZe!!」
と虎鉄が言う。
「えぇぇぇー」
「ペナルティーは勘弁したいぜ」
「まあ、総合点だし、何とかなるだろ」
マネージャーの反応は様々であったが結構楽しんでいそうだ。
その話を知らない人は何人かいた様でその後は皆必死で勉強に励んでいた。
+*+*+*
そして、1週間後、答案もすべて帰ってきたため集計がなされた。
「じゃあ集計発表します」
がそれぞれ聞いた点数を書いた紙を持って前に出る。
「3年総合1位牛尾先輩。2年長戸先輩。1年辰羅川君。
残念ながら2年から2名、1年から2名平均以下が出てしまった
のでご褒美はお流れですね」
「あ〜〜ちくしょう!!誰だ!!全員クリアー邪魔したのは!!」
と悔しそうに騒ぐ猿野。
「とりあえず、1名はお前で決定だろ」
と犬飼がツッコむ。
「犬君大当たり。お猿君は保健が高得点だけど、数学、
物理、国語が赤ランプでしたー」
「バラすな!!そういうお前はどうなんだよ!!それ見せろ!!」
と言ってが持っていた紙を奪いとる。
「って何勝手な事してるの!!返して!!!」
「何々…。古典、日本史、世界史満点。国語学年3位。
生物5位、数学19位…なんだこの優秀点数は!!
おっと英語が平均以下だ」
下に書いてある平均点より10点下で猿野が喜ぶ。
「あ――!!勝手にバラさないでよ!!」
と言って村雨(人体急所)目掛けて蹴りを入れた。
ドコォ「グハッ!!」
猿野はそのまま倒れこむ。犬飼はその様子を呆れ顔で猿野に言う。
「自業自得だ馬鹿猿」
「じゃあ4名のペナルティーは皆がご褒美のディナーを
食べているのを黙ってみてるだね」
ニコニコしながら牛尾先輩は告げる。
「えってことは平均以上は…」
「ああ。もう手筈はしてあるから、皆、家に帰りが
遅くなるって連絡しておいてくれたまえ」
「「「「やったぁぁ!!」」」」
周りが歓声をあげて喜んだ。
頑張って勉強した甲斐があったと語ったり、
悪かった点数を揶揄しあったり楽しそうにしている。
「牛尾先輩は優しいねぇ」
連れて行ってしまえば、ペナルティーでも誰かが分けてくれる。
それを分かってるから。
「さて、私も家に電話掛けますか」
携帯のボタンをプッシュして、コールを鳴らす。
「もしもしお義母さん?」
今日も遅くなるとお義母さんに伝えよう。