は 花盗人
探し者だった彼女は、見開きのハードカバー本を胸に
置いて、緩やかな風の吹く屋上で寝ていた。
「もう、お昼のミーティング忘れて気持ちよさそうに…」
ポニーテールを解いて寝てるところを見ると、本気で熟睡
する覚悟で転がっているのだろう。
燐は腕時計を見てから、の頭の上辺りに膝をついた。
綺麗な顔。
目も大きくて、今は見えない深緑の色は、本人に言わない
けど、燐のお気に入り。
女性としては未熟でも、均整の取れた、綺麗な躯。
燐より小さいのに、燐より速く走れる足。
燐より遠くに球を投げられる肩と腕。
体格の小ささを物ともしないダイナミックな動きができる
精密な神経。
病的な白さではなく、健康的な肌色。
性格は、多少卑屈で自慢より自虐が好みで、プロ野球選手
の娘にしては貧乏くさくて、今時の女子中学生にしちゃか
なり頭固い。
その代わり、モノを大切にできる。
本当にムカつく子。
燐は人差し指での唇をなぞる。
少しカサカサしてるから、後でリップクリームを貸して
あげよう。
思えば、入学当初からは良くも悪くも目立っていた。
この六龍は100年以上の歴史と全国に多くの著名人を輩出
した実績のある有名校で金持ちか学力かスポーツで成績
のある人間しか入れない。
香苗は代議士の娘だし、燐の父とて最高裁の裁判官をして
いるエリートだ。
は日本の年間不明金3兆円のの3分の1に関係して
いると囁かれる加西家が父親。
つまり、燐達3人は金持ちでしかもヘタな関わりを持つ
ことすら憚れるバックホーンがあるが、は違った。
はリトルリーグで全国ベスト4になった成績を認め
られてここに来た。
とてあの村中大打者の娘なんだから金持ちの部類だ。
しかし、引き取ってもらっただけでも有り難いのに、
こんな馬鹿高い授業料払わせたくないから、特に審査
の厳しいスポーツ入試でここに来たと言っていた。
政治にも経済にも関係しない上に養子で、自分達より
優れていて、見かけは弱弱しそうな子。
目立って杭になれば大いに叩ける素材だ。
ああ、気持ち悪い。
他者を見下さなければ自分を誇れもできないのか。
そんな感情が、私を全体の流れに逆らわせた。
香苗は燐の幼馴染で、本人もが好ましい部類だった
から友達付き合いを始めた。
にいたっては溺愛だ。
以上に優れた人間も可愛い人間もいないと断言
しそうなくらいはりついている。
今は、その決断に概ね満足してる。
ムカつくことも多いけど、とことん合わない考えもある
けど………。
「、、そろそろチャイムなるから起きて」
「ん……おはよ、燐」
この子と一生、もしくはできるだけ長く友人でいたい。
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オリキャラオンリーでごめんなさい。