え 映画館


CCに伴われて行き着いた先は、廃寺だった。
打ち捨てられた墓石と卒塔婆が異様な雰囲気を作り、
人が入り込むことを拒絶するような状態だ。

昔、そう、この島の名前が日本であった時に遡る。
スザクが持ってきた時代劇の映画に、似たような風景が映っていた。
あの時は、映画館さながらの暗闇で、より一層恐怖が
膨れたものだ。

CCはさっさと境内に進み、半壊した仏堂の前に立つ。

「、私だ。ゼロを連れてきたぞ」
「っおい!」

ルルーシュは慌ててCCの肩を掴んだ。
今のルルーシュは歩兵スーツで、この状態でゼロの名を
出されるのは非常に困る。

「そう慌てるな。
言っただろう、コンドルの目の力を持つと。
ここにいる奴はお前と同じ、異能の持ち主だ。
外見を隠したところで意味はない」
「そういうこと」

CCの台詞に呼応する声が奥から聞こえた。
ぎしぎしと床板を踏み鳴らして出てきたのは。

「子供!?」
「はじめましてゼロ。僕の名前は。
異能の名前は“検索[サーチ]”」

ジーンズと白いトレーナーを着た、灰色の目と赤い髪
の幼い少女。
年頃はナナリーよりも4,5歳下に見える。

「おいCC!俺はこんな子供まで巻き込むつもりないぞ!」
「何を言う。
は子供だが、そこらの男共の5倍は役に立つ。
実際今回に限っても私がこの服を着てても軍に見つ
からない道筋のリークやお前を助けるタイミングを
教えてくれた。
この子がいなければお前は今頃、いつもの私と
ペアルックだ」
「素直に拘束されていたと言え。
その話が本当だと仮定した場合、確かに役には立つ。
だが俺に子供に戦場に立てと、人を殺せと命令しろ
と言うのか」
「お前の望む未来の先、老若男女全てが大なり小なり
争いに巻き込まれる。
その大罪を受け入れる覚悟がないと言うなら、ここで
終わりにした方が身を滅ぼさずにすむぞ」
CCは鼻で笑って断言した。
ルルーシュとCCの無言のにらみ合いには困り果て、
意を決して口を開いた。

「あのさ、確かに僕はこの前十歳になったばかりの
子供だけど、世間からみればゼロだって子供の範疇
じゃないか。
僕はCCからこう聞いた。
ゼロは日本を取り戻すつもりがあって、そのために
いっぱい人が必要だって。
僕は日本奪還の為の駒として死ぬ覚悟もしたよ。
だからゼロを助けたんだ」
「親はどうした」
「母さんは僕が3歳の頃に死んで、父さんは3年前に死んだ。
今は租界の中にあるペットショップのアルバイターで、
副職で万引きとかの軽犯罪をちょっと……でも、もう
しないかも。
一緒にいた友達は、この間、新宿で死んじゃったから」

ドクンと、心臓が跳ねた。

友達が、死んだ。
俺も新宿でスザクを一時的にだが、失った。
苦しかった。
そして、母さんを、スザクを殺した、ブリタニアを
壊してやると強く誓った。
俺は、CCに力を与えられ、スザクも生きていて
運が良かった。
だが、その代わりにこいつは友を失ったのか……。

「どうする?
どちらにせよはお前がゼロだと知ってしまった。
慎重なお前には放っておくという選択肢はあるまい」

その台詞を受け、俺は握りこぶしに力を込めた。
いつかぎゃふんと言わせてやるぞ魔女めっ!!

そして、はゼロの最初の配下となった。

数ヵ月後、ゼロをトップにした黒の騎士団は、
エリア11最大の反政府組織となる。