13.弱音を吐かず、何時も笑顔で居る君だから。

[ホイッスル! 渋沢夢+藤代夢でダブルヒロイン]








遠征から帰ってきたは体育館の裏にあるベンチに俺を呼んだ。


「お疲れ様、

「どうも」


久々に顔を会わせた彼女は困ったような微笑を浮かべていた。


「世界大会ベスト4だったんだって?凄いじゃないか」

「うん、精一杯はやってきた。でも今回は頂点無理だったね…」


中学では最後で、一番大きな舞台だった。

日本っていう1つの国の代表として戦って、プレッシャーも少なからず
どころじゃなくあって、でも…凄く楽しかった。


「後一点が取れなかったんだ」


バットを振って、手応えのあるあの感触はやってこなかった。


「楽しかった…力は出し切った…でも悔しい」


は小刻みに肩を揺らしていた。

俺はそっとその肩に手を当てるしかできなかった。


「今年はいけるって思ったの。1年も良い子が加わって、
皆が息が上手く合ってて、それでも届かなかった」


あの舞台に立てるだけでも贅沢なのに、私は…ううん、
全員がそれだけでは我慢できなかった。


負けたって分かった瞬間にもう涙が苦しいくらい
すぐそこまで迫ってきてた。


「ああ」


のいる日本選抜のソフトメンバーとは何回か顔を会わせた事がある。

年功序列の崩れた、でも芯が堅い良いチームだと思った。


「お疲れ様、


いつもは部活の一番上に立って弱音も吐かないでいつも笑顔で
いる奴が、こんな風に泣けるのは本当に大好きなチームで
戦えたんだろう。

俺もサッカーをしてて、その気持ちは良く分かる。

だから、言葉も沢山言えば良いという訳じゃないのも分かってる。


俺はの目が腫れるまでずっと側にいた。


「…ありがと、克郎」

「どういたしまして」


冷えたタオルを目元に当てて、が恥ずかしそうに感謝を言った。


「あ、でも甘えるのは俺の前だけにしてくれよ?」

「馬鹿っ!!!」


は顔を真っ赤にして渋沢にタオルを投げつけた。




「うわ〜あれって痴話ゲンカ?どう思う

「そうにしか見えへんよ。渋沢先輩やるわ〜」

「キャプテン結構タラシだったんだな」

「藤代ちゃん座布団1枚やね」


と渋沢は藤代との後輩コンビにそれを見られている
事を知らなかった。


「…は平気なんだよな?」


藤代はちょっと困った顔しての顔色を伺った。


「負けたのは悔しいけど、うちにはまだ来年あるやん。

でもはこれ最後やったんよ。だから渋沢先輩やないと
弱音吐けないんや」


同じ三年生で同じ責任持ってて、一番心を見せられる人やしな。


ちょっと寂しそうなに藤代は慰めの言葉をかけることなく、一緒にいた。


「俺はと同じ2年で、同じ新主将だぜ。だったら俺がの弱音聞いてやるよ」

「…………阿呆。こんな時にそんな台詞吐かんといてや」



青い春と書いて青春。

弱音を吐くのが恥ずかしくて、いつも笑顔でいようとするけれど、
それでも素のままでいられる事ができるのは、とても大切なこと。




END




++コメント++

渋沢夢でした。

ヒロインは黒蝶伝説にちょっと登場したJSのメンバーです。

あ、後輩コンビ相方もですけど。

この二人は武蔵野森の生徒なんです。




BY紙屋水樹