#01 緒戦と初戦
そして、戦いの日はやってきた。
ここからが、本当のスタート地点と言えるのだろう。
これからは、1度だって負けられない。
そう意思を固めて、十二支野球部は総出で試合会場の入り口をくぐった。
「悪く思うなよ猿野!精々お前は、オッレの球銃でも磨いといてくれや!」
と獅子川が猿野に牛尾から貰った球銃を渡す。
「残念ながらお前の出番はないのだ。猿野と仲良くベンチでも暖めておくのだ!」
と鹿目が犬飼を挑発―とういか嫌がらせ?―をしている。
猿野と犬飼のストレスは練習試合の時の比ではない。
「試合に出せ出せ出せ出せ出せ出せ出せ…」
「試合で投げさせろ投げさせろ投げさせろ投げさせろ…」
苛々が募り、2人はお互いの顔に拳をめり込ませる。
「2人共落ち着いて…」
辰羅川が2人の仲裁に入るが。
「「俺を出せ〜!」」
変わりに2人の拳の餌食になってしまった。……哀れ。
「はーい。2人共その辺で止めないと謹慎期間延ばすよ?
獅子川先輩も鹿目先輩もあまり2人をからかわないで下さい。止めるのはこっちなんですから」
はベンチの後ろにあるドアから顔を見せ、辰羅川の代わりに仲裁をする。
「うし。じゃあミーティング始めるよ。集まって!!」
は全員に聞こえるように声を張り上げる。
その頃応援席では。
「オラ――!!!十二支根性みせろよ!!軍隊チームなんてブッとばせ――!!」
もみじが胸にサラシを巻き、その上に長学ランを羽織って応援に勢を出す。
当に応援団長に相応しい。それにのって他の部員も応援に熱が入る。
「随分やる気出しとるんやなー」
バイト中の黒豹が子津に話しかける。
「もちろんっすよ!!選手も頑張るんすからこれくらいはしないと」
「にしてもちゃん見あたらへんなー。何処にいたんやろ?」
先程まではここで柿枝と話をしていたので
黒豹は近くにいるだろうとふんでとあたりを見回す。
「さんは鳥居さんと一緒にベンチっすよ。
他のマネージャーは応援に回ってるっすけど」
「そうやったんか。なんや、一緒に応援できるかと思うとったのに」
すこし残念そうに黒豹はため息を吐く。
それを見て、子津はライバルがまた1人増えていたことに頭を悩ませていた。
「にしても、武軍か。あの開会式の時のけったいな学校やな?」
「はいっす。1回戦から強敵だってさんがぼやいてたっす」
確か、5回戦からが手ごわくなってくるって噂の学校だって。
皆さん、頑張って欲しいっす。
グラウンド側では、簡単に相手校の話と注意点を話していた。
「ミーティングは以上だ、1回こっきりのトーナメント戦…次の試合など気にせず、全力でぶつかれ」
「「「「「はい!!!!」」」」」
元気の良い返事の中、そわそわしている奴を目聡く羊谷は見つける。
「そこ!」
監督がウサギ君と司馬君の方を見ながら言った。
「何時もの元気がねぇじゃねぇか・・・もしかして、敵校の軍隊ぶりにびびってんじゃねぇだろうな?」
「そ…そんな事無いよ!ただ、ちょっと緊張してるだけだもん…」
「(コクコク)」
2人は羊谷の言い分を即否定する。
「ははっ緊張するのも無理ないよ。3年の僕等だって緊張しているんだからね」
牛尾が兎丸の弁護に回る。
「え?」
その言葉に驚く1年軍。
「羊谷監督が就任される前は、レギュラーに抜擢されるのは当時の3年からのみだったんだ」
思い出したくも無い過去。年功序列。3年になれば自動的にレギュラー。
その所為で十二支は弱かった…。
「だから2年は勿論、3年の僕等も公式戦に出るのは今年が初めてなんだよ」
3年の表情が暗い。その当時を思い出しているのだろう。
「今ここで皆と一緒に公式戦に出場できる事を、神に感謝しよう…」
「牛尾先輩、感謝するのはこれからですよ!!」
「の言うとおりですYo。牛尾さん勝手に感慨にふけんないで下さいYo、まだ早すぎますYo!」
「試合は参加しただけで満足しよった、いかんとって。
やるからには勝たな「勝つだけじゃ駄目っすよ〜!狙うは優勝のみ!甲子園出場っすよ!!!」
猿野が猪里の台詞に口を挟み、一気にまくし立てる。まぁ、確かに賛成だけどね。
だけど、お猿君、これ以上猪里先輩の登場を邪魔してやるなよ。
「猿野てめぇ何勝手に仕切ってんだ!」 「おう!」 「絶対勝つぞ〜!」 「おおっ!」
それにつられて皆の士気も一気に高まった。ほんと、こういう時はいい奴なんだよな。
「うっし、行って勝ちを取ってきなさい!!」
は力強く、選手達を激励する。
「「「「おお!!」」」」」
円陣を組んだ皆がそれと共に足を力強くグラウンドへと踏みつける。
『1回表十二支高校の攻撃です』
さて、第一回戦の幕開けだ。
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