#17





燐との和解を果たした日の夜。

「ごめんなさい」


は白雪に頭を下げに白雪の部屋にきていた。

埼玉選抜の使用時間を半分近く使ってしまった現況は
なので、謝罪代表はもちろんとなる。


「まあ、しょうがないって選手達もわかってくれたから。

これでわだかまり1つクリアーだね」

「まだ1つですけどね…」


しかも自分だけでなくほかの人たちのも気になるからな…。


「にしてもギリギリだったね〜。もう開会式明後日だよ」


カレンダーの×印は増え、本来の全国大会は今日豊臣高校の
優勝で幕を下ろした。


「ちなみに、まだあいつ等は駄目ですか?」

「大当たり」


参ったねと言いながら白雪はパイポを咥えた。


「主戦力達の不仲ってのも十分問題ですね」

「折角ちゃんから前情報もらっておいて不甲斐ないよね」

「人の感情は複雑ですから」


経験者の言に、白雪は神妙な顔をした。


「……大神のこと、まだ忘れられない?」

「はい」


密着して離れない記憶。

一緒にいたくて、でも見っとも無い所はみせなくなくて、
嫌われたくなくて……。


「雪さんにはかなり最初にバレましたよね」

「気づかない方が可笑しいよ。ちゃん大神の前になると
素直になれてなかったから」


クスリと苦笑して、白雪は当時を思い返す。

大神が来るとすっごく嬉しそうな笑顔になって、気は引きたいけど
嫌われる事はしたくないって悩んでて…
あれが幼い恋だと気づくのに、時間はかからなかった。


「僕が今のちゃんと同い年で、十二支に通ってて、基礎練ばっか
で先輩達と監督に不満たらたらで、練習試合の応援サボって
ちゃんと大神と僕とで練習して…懐かしいね」

「蟻川さんとか籠原さんとか鳥羽さんも時々来ましたよね」


3人とも十二支の野球部員だった。可愛がってもらったな〜。


「よく覚えてるね。籠原なんか去年お父さんになっちゃったよ」

「嘘!?早…って言っても、うちの両親と比べれば普通か…」


魁兄生まれたのお義父さんが19の時だもんね。


「でも、もうあの時の皆さんと同い年なんだ」


あの頃の私にとって、高校生は大人だった。

私も高校生になったらあれくらい大きくなれるのかなって。

大神さんと同い年なら、この気持ちを受け入れてもらえるのかなって。


「あ、そうだ。ちゃんお願いがあるんだけど、
空蝉、彼等に教えてもいい?」


今思い出したように話を切り換えた白雪に、は首を捻った。

急に話を切り替えるのに、何故それを持ち出すのか分からなかった。


「空蝉って昔、私が王●治のマネしたあれですか?」


小学校4年生の時にドキュメンタリーがテレビで放映されて、
練習したらできるようになってしまった打法、空蝉。


「そう。彼等の問題か払拭されたら、大阪対策しなくちゃだからね」

「いいですよ。決勝相手が大阪にしろ私達にしろ、重要でしょうしね」

"空蝉"はいい。

"空蝉"は雪さんと大神さんのもので、私のものとはまた違い
があるんだから。

あの時は、大神さんの役に立てるのが一番楽しかった。

大神さんと、対等になりたかった。

でも……目標は永遠に失われた。


「雪さん」

「何だい?」

「……やっぱりいいです」





もし、あの時の大神さんと今の私なら……大神さんは

妹分じゃなく、女として、私を見てくれましたか?


それは、意味のないIF。

私が目指した、2つ目の夢。























あとがき